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パラソル

多くの人々にとって傘は、なんら特別な物ではなく、単なる物に過ぎません。雨の時は濡れぬよう傘を差し、日差しの強い日は太陽光線から身を守るため日傘を差します。現代的で新しい発明のように見えるパソル・傘ですが、古代ギリシア、ペルシア、その他の古代文明社会で、既に使用されていたようです。 当時、パラソルは地位を象徴するもので、その使用は王や女王にのみ許された特権でした。中世、パラソルの使用はほぼ見られなくなりましたが、18世紀に少しだけパラソルの復活がありました。アメリカでの初の傘は1740年にコネチカット、ウィンザーの女性が使用したといわれていることからもわかります。

パラソルは、一般的に19世紀のファッションと結びつけられます。確かにパラソルは、ベルエポックやイギリスのヴィクトリア朝時代には、広く人気がありました。飾り房やレース地、レースのカバーに見られるように、パラソルがより豪華なものになったのもこの時期でした。

パラソルは実用的なものであると同時に、流行のアイテム、富の誇示の道具、そして社交の手段でもありました。
貴族の女性達は、白い色の肌を保つためにパラソルを使用しました。というのも、その当時は、滑らかで白い肌が流行でしたので、日に焼け、乾燥した肌は田舎者や畑仕事などを連想させる、お金持ちのイメージからは程遠いものだったのです。 しかし、パラソルは単に影を作り出す道具以上のものでした。 ファン(扇)やハンカチと同様、パラソルは意思の疎通に、そして時には戯れの恋の駆け引きに使われました。 女性は、微笑んだ顔や目を強調するために、パラソルを使いました。お目付役から彼女の視線の行方を隠すのにも、欠点をカモフラージュするのにも、内気で恥ずかしがりやの女性を演じるためにも、パラソルを使いました。

パラソルはエレガントな女性達には欠かせない小物でした。それはデコレーションの贅沢さにもみてとれます。19世紀、シャンティリレースはユージニア皇后の影響により広く渡り人気となりました。右の写真は、パラソルに特別な豪華さ、贅沢さを与えるためにレースを用いた、素晴らしい作品例です。このパラソルはどちらかといえば小さめのもので、恐らく19世紀の裕福な貴族の女性が馬に乗る時に使用したものと思われます。

ブリュッセル・アプリケーションはヨーロッパでも広く人気のあったレースで、パラソルやファン(扇)、洋服の装飾によく使われました。上の写真はブリュッセル・アプリケーションで装飾されたパラソルの一例でです。このパラソルは、柄の部分は骨、そして絹にレースを重ね合わせた生地でできており、その当時、財産を多く注ぎ込まなければ買えなかったであろうものと思われます。ヴィクトリア朝時代の人々は、優雅さや美しさにとても興味を持っていたのに対し、現代のヨーロッパでは、美しいファッション小物への情熱が少しづつ消えつつあるのは、残念なことかもしれません。日本では、今でもパラソルを差す習慣があるようですが、ヨーロッパではパラソルの復活を願うことしかできません。