
今回は、レースではなく、刺繍に目を向けたいと思います。写真(上・下)は、襟、ボタンカバー、カフス、ポケットカバーの4点セットで、18世紀末、男性用に作られたものです。刺繍で描かれたシーンは、ロマンティックな雰囲気を醸し出しています。
プチ・ポアンの起源は、ペネロペ(ギリシャ神話、オデュッセウスの妻)の伝説の中で、愛する夫の帰りを待つ非常に長い間に、彼女が作った美しいタペストリーだといわれています。中世や、ルネッサンス期に作られた多くのプチ・ポアンが、今も残っています。プチ・ポアンは室内装飾品としてだけでなく、服の装飾にも使われていました。狩猟の歴史の中にも登場しますし、恋する誰かに気持ちを知らせるために身につけたこともあったそうです。
ルイ14世時代に作られたプチ・ポアンには、たくさんの花がデザインされていました。ルイ15世の頃になると、サルやリスなどの動物が組み合わせられるようになります。そしてフランソワ・ブーシェが宮廷画家になった頃、彼は、非常に優美な田園風景のデザインを提供しました。プチ・ポアンは貴族の女性にも愛された刺繍の1つで、マリー・アントワネットの大好きな趣味でもありました。
By Diane Claeys , Jeri Ames and Coleette Didembourg
